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なごみつうしん

小沢浩さん(島田療育センターはちおうじ)発行の「なごみつうしん」です 。

掲載日:2015年2月10日(火)
発行日:平成27年1月26日(第1号)
発行 :島田療育センターはちおうじ


なごみつうしん

「なごみつうしん」発行に際して
皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。
 日々過ごしていると、楽しいことばかりではなく、いやなことつらいことなどさまざまなことがわたしたちを襲ってきます。
 そんなとき、皆さんは、「ことば」に癒されたことがありませんか?
 「なごみつうしん」は、身近なできごとから、そんなほっとできる「ことば」をお送りする「つうしん」です。
 皆さんの心に届けば幸いです。

所長 小沢 浩


「空は青い」
 ある市の就学判定の面接をしていたときの話である。
 L君は、観察するのが大好きな子だった。自分の知らないものがあると確かめずにはいられない。面談室に入っても、初めて入る部屋のためL君はずっと動き回っていた。そしてすべてのものをチェックしていた。でも会話はしっかり聞いている。その証拠に両親と話していると、突然「それは○○だよ」と答えてくれるのであった。しばらくすると、L君が突然動きを止めた。そして窓から空を眺めている。何を感じているのだろうと思い、私はL君のところに行って一緒に空を見上げてみた。空は一面の雲が覆っていた。私はL君に「空が曇っているね。」
と話しかけてみた。L君はしばらく答えない。ずっと空を見上げている。そのときであった。
「空は青いよ。」
突然そう答えるL君は、微動だにもしない。私はもう一度空をみた。そうだ。L君の言うとおりだ。空の半分は雲が覆っているが、太陽は隠れているけれど、残りは青空だった。

確かに青だ。
「そうだね。青だね。空は青いね。」
私の言葉に答えることもなく、L君は空を見続けている。
 我々大人は、子どもよりは多くのことを学んでいると思う。でも学ぶことによって、先入観で物事を見て、いや見た気になって、本当のこと、本質を観ることを忘れてしまっている。我々は、発達障害の子どもたちを「グレーゾーン」という言葉で表現することがある。でも「グレーゾーン」って何なのだろう。雲はあるのかもしれない。でも雲は一部である。雲は空に浮かんでいるのだ。
空は青だ。青いんだ。
 面接が終わり、私はL君に「さよなら。今日はありがとう。」と声をかけた。L君は、私をみてニコッと笑い、部屋を飛び出していった。
「空は青いよ。」
背中がそう語りかけているような…、そんな気がした。
(奇跡がくれた宝物 小沢浩著、クリエイツかもがわ より)


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なごみつうしん

info150210_1.pdf(PDF 文書)



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